松原の立場に到着した鶴蔵は、早速信州名物の蕎麦を注文した。暫くするとかけそばが出されたが、その蕎麦が出された瞬間
Pretty renew呃人、鶴蔵は目を丸くする。
「おい、これって松茸じゃねぇか?ちっせぇけどよ」
鶴蔵は恐る恐る店の主に尋ねる。
「へぇ。その通りで。何せ小さいですし、いつも出せるもんじゃないんで、お代は普通のかけそばと同じなんですけど・・・・・・実はここいら辺のお山、公方様の御留山なんですよ」
「え?」
つまり将軍への献上品ではないか――――――さすがにそれは問題があるだろうと鶴蔵の顔は青ざめる。だが、主人はニコニコとしながら言葉を続けた。
「ですが、献上品にならない小さなものはあっしらが使っても良いことになっているんです。で、この時期はコロ――――――小さな松茸で出汁を取ってかけそばにするんですよ」
「なるほどな。まさか身延山のご利益がこんなところで出るた・・・・・・ありがてぇ」
松茸の時期だけの贅沢品の上、献上品を取るついでに取ってきたものだからお代は普通のかけそばと同じで構わないという。
鶴蔵は『ご利益、頂戴します』と手を合わせた後、松茸の出汁が出ている汁をすすった。すると松茸の香りが口いっぱいに広がり、ほんのりと甘い出汁の味が続けて感じられる。更に具として入れられている松茸を齧ると、独特のほろ苦さが芳香と共に喉の奥まで広がった。。
「うめぇな。しかも公方様へ
Pretty renew呃人の献上品は更にでかいんだろ?きっとうめぇんだろうなぁ」
「それが・・・・・・そうは思えないんですよね」
主人が周囲に聞こえてはまずいとばかりに声を顰める。
「何せここからお江戸は遠いでしょ?腐らないように乾燥させて運ぶんで、公方様のお口に入るのは松茸の干物なんですよ。悔しくて悔しくて・・・・・・本当に美味しい松茸を食べていただきたいんですけどねぇ」
「てぇ言うと、この松茸蕎麦は公方様がお食べになる松茸よりも美味しいってことかい?」
「へぇ、その通りで」
「だったらもっと堪能しておかねぇとな・・・・・・もう一杯いただこうか」
「へぇ、まいどあり!」
主人は笑顔で店の奥へ引っ込む
Pretty renew呃人。結局鶴蔵は仲間を待つ間、更にもう一杯、合計三杯の松茸蕎麦を食べることになるのだが、それでも食べ足りないとごねて匡蔵に叱られることになる。